近ごろ、住み慣れた自宅で、ご葬儀をしてほしいと考える方が、徐々にではありますが増えているように思います。以前ご相談くださったYさんもそうでした。
ご希望はご親族を中心にご自宅で静かに故人を送りたいとのこと。
ただ、物理的に可能かどうかを心配されておられましたが、お棺をご安置できるスペースがあれば問題はありません。
結局、Yさんはご自宅で葬儀をされ、「やってよかった。」とおっしゃっておられました。
どのようにされたかと申しますと、町内会には回覧板をご辞退され、ご近所への配慮として、玄関に翌日の葬儀は家族だけで執り行う旨の張り紙をされたのです。
お通夜にはご近所の方が数名お悔やみに来られていましたが、当日の葬儀はYさんのご希望通り、近親者だけで静かに行うことができました。
出棺の際には、ご近所の方が玄関口から合掌してお見送りくださいました。
Yさんの配慮といい、ご近所の方のさりげないお心遣いが融け合い、これこそ地域のぬくもりなのだと感動いたしました。
このように、住み慣れたわが家でわが町で、近しい方だけで静かに葬儀をするのは可能です。
要するにやり様なのです。通常、ご近所のご不幸を知るのは回覧板か訃報案内の紙が玄関に張ってあるのを見かけたというのがほとんどです。
それをすべて拒否するというのもひとつの方法です。
訃報案内を張らずに、回覧板をお断りするだけでも、会葬者はぐっと減ると思います。
ですが、もっと効果的な方法があるのです。その方法なら地域への配慮を忘れずに、なおかつご自分たちのご意向である『家族を中心に近しい方だけで、静かにこじんまり』と家族葬を行うことができるのです。
それは、回覧板にしてもご近所の方へも、ご自分の意向をきちんとお伝えするということです。
これだけ家族葬という言葉が定着している時代だからこそきちんと伝えておけば、「あちらは家族葬で行われるから、会葬を遠慮しよう。」というように、近所の方も配慮してくださいます。
それでもお越しくださる方は、本当に故人とご縁の深い方のはずです。
いかがでしょうか。
会葬者を招いての葬儀は、ご自宅ではスペース的にも難しいのかもしれませんが、ご家族を中心に行う家族葬はご自宅を離れなくても工夫すれば十分に可能です。