ここ数年、家族葬ということばを多く耳にするようになりました。
なかでも、
「家族葬をしたいのですが、祭壇はどうなりますか。」
「家族葬はいくらくらいですか。」
「家族葬だと近所の方に来てもらったらダメなのですか。」
ハッキリ申しますが、家族葬というものにはきちんとした定義がないのです。
「家族のみで行うお葬式」をさしていうこともあれば、「家族と親戚のみで行う葬儀」をさすこともあります。ときには、家族葬と言いながらも親しい友人なども参列する事もあります。
また、一般の方のなかには家族葬というのは、費用の安いお葬式スタイルだと思っておられる方もいらっしゃいます。葬儀社によっても家族葬の定義はあいまいで、おそらく「あまり多くの人に声をかけず、身内中心で行う葬儀」というように捉えているのだと思います。
たとえば、家族の間でも家族だけのお葬式をとお考えの方もあれば、近所の方には来ていただきたいと思う方もいらっしゃいますし、これだけでもお葬式においてするべき配慮が違ってきます。
家族だけなら粗供養は不要だと考えるでしょうが、たとえご近所だけでも他人様に来ていただくなら、粗供養をご用意するべきでしょうし、このほかにも、家族だけなら記帳する必要はありませんが、ご近所にも来ていただくなら記帳の用意も必要になってきます。
つまり、家族間でも大切な方をどのように送るのか、だれにお越しいただくのかをお互いに話し合いきちんと統一しておくことが大切です。
おそらく、この『家族葬』という言葉を造った人は、ご家族だけで大切な方を送るお葬式という意味で作ったように思いますし、私どもとしましても、たとえ数人でも血縁関係のない方がお越しになるお葬式は家族葬ではないと考えます。
家族葬というのは、義理や余計な気遣いなどを排除し、家族だけで大切な方を送る葬送スタイルですので、人数の多寡に関係なく、血縁関係のない方がお越しになるお葬式は『家族葬』とは呼ばず、『少人数のお葬式』として区別をするべきだと思います。